ネットショップを1年やって、月の売上は2〜3万円でした

ネットショップを始めたけれど売れない、という方に読んでほしい話です。
13年以上前の、私の話です。生々しい数字も、かっこ悪いところも、そのまま書きます。

1年間、月2〜3万円でした

私はいま、樽酒と鏡開き用品の専門ネットショップを運営しています。2013年後半からなので、13年ほどになります。

でも、最初は樽酒の店ではありませんでした。

始めたときは、日本酒を幅広く扱う店として作りました。銘柄をたくさん並べて、ページを作って。品揃えを増やせば、そのぶん誰かの目に留まるはずだと思っていたんですよね。

結果です。売上が月に2〜3万円。

まったくのゼロではありません。でも、そこから仕入れ値を引いたら残るものはほとんどなくて、実質は赤字でした。

それが1年続きました。

売れないのに、仕入れはしなければいけません。毎日サイトを開いて、注文が入っていないことを確認して、何をどう直せばいいのかも分からないまま、また一日が終わる。時間とお金だけが溶けていく感覚でした。

途中でSEO業者に65万円を払ったこともあります。電話で勧誘されて、上位に載せますと言われて、面白そうだと思って乗りました。

それでも、変わりませんでした。

いま振り返ると、売れなくて当然でした

当時は分かりませんでしたが、いまなら理由がはっきり言えます。

日本酒を幅広く扱う店は、全国に何百とあります。老舗もあれば、酒蔵直営もある。品揃えでも、価格でも、信用でも、後から来た無名の店が勝てる要素はひとつもありません。

その中に「うちにも色々あります」と並んでいても、選ぶ理由がないんですよね。

私は「品揃えを増やせば、誰かの目に留まる」と思っていました。でも実際は逆でした。幅広くやるほど、比べられる相手が増えるだけだったんです。

きっかけは、人からの一言でした

ここは正直に書きます。自分で分析して方向転換したわけではありません。

悩んでいる私を見かねた、とある酒蔵の社長さんが、こう声をかけてくれました。

「樽酒、扱ってみる?」

正直、そのときは深く考えていませんでした。ただ、何かを変えないといけないのは分かっていたので、やってみることにしました。

Amazonに数点だけ、試しに出しました

いきなり店を作り替えたわけではありません。まずテストとして、Amazonに樽酒を数点だけ出品してみました。

1週間で3つ売れました。

日本酒を1年並べて、月2〜3万円だった店です。金額の桁が変わったわけではありません。でも、手応えがまるで違いました。

「これはやるしかないな」と思いました。

そこから1ヶ月ほどで、樽酒の専門店をネット上にオープンしました。

専門店にしたのは、戦略ではありません

なぜ「専門店」という形にしたのか。かっこいい理由があればいいのですが、実際はこうです。

一人でやっているので、たくさんのことはできないと思ったからです。

手を広げても回りません。それなら専門店でいいかな、と。そのほうが、見た人にも分かりやすいだろうと思いました。

市場を分析して一点突破を狙った、という話ではありません。できることが限られていたから、絞っただけです。

日本酒の売上は捨てることになります。扱う商品も激減します。普通に考えれば、選択肢を減らすのは怖いことです。それでも、そうするしかありませんでした。

注文は、正直に言うとすぐ入りました

書いていて嘘くさくなりそうなので、先に断っておきます。

専門店にしてから、注文はすぐに入るようになりました。 これは本当です。

ただ、これを「絞れば売れる」という話として読まないでほしいです。

前提として、1年沈んでいます。 きっかけも自分で見つけたものではなく、人がくれたものでした。そして飛びつく前に、Amazonで小さく試して確かめています。

そのうえで、なぜすぐだったのか。いまなら説明がつきます。

「日本酒がほしい人」は無数にいます。でもその人たちにとって、私の店は何番目かの選択肢でしかありません。

一方で「会社の周年行事で鏡開きをしたい」という人は、ぐっと少なくなります。探している人が少ない代わりに、探している人にはちゃんと見つけてもらえるんですよね。

母数が減ることを、私はずっと損だと思っていました。でも実際に効いたのは、そこでした。

13年経って、いちばん大きかったこと

売上よりも、後から効いてきたものがあります。知識です。

樽のサイズはどれを選べばいいか。何人ならどれくらいの量が必要か。何日前に注文すべきか。ホテルや式場へ直送できるか。木槌は何本いるか。上げ底とは何か。

専門店にしてから、こういう質問に毎日答えるようになりました。13年やっていると、これが積み上がります。

幅広く日本酒を扱っていたら、絶対に溜まらなかった知識です。

そして今、これがいちばんの資産になっています。商品は誰でも仕入れられます。でも「30人の鏡開きなら何リットル必要か」を、想像ではなく実際の経験から答えられる店は、そう多くありません。

絞ったから弱くなったのではなく、絞ったから強くなったんだと思っています。

まとめ

  • 日本酒を幅広く扱う店を1年やって、売上は月2〜3万円。実質赤字だった
  • 品揃えを増やすほど、比べられる相手が増えるだけだった
  • 転換のきっかけは、自分の分析ではなく人からの一言だった
  • いきなり作り替えず、Amazonで数点だけテストして確かめた
  • 専門店にしたのは戦略ではなく、一人でできることが限られていたから
  • 絞ったら注文はすぐ入った。ただしその前に1年沈んでいる
  • 13年経って効いているのは、売上より絞ったから溜まった知識

いま売れなくて悩んでいる方に、「絞りましょう」とは言いません。私自身、自分で気づいたわけではないので。

ただ、品揃えを増やす方向で悩んでいるなら、一度逆を考えてみてもいいかもしれません。